平成を代表する時代劇といえば、「鬼平犯科帳」
何と言っても「鬼平」こと長谷川平蔵を演じられてきた中村吉右衛門さんの、そのお人柄が多くのファンを惹きつけて止みません。鬼平の懐の深さ、知性と時にユーモアを感じさせる人柄が、令和になっても、いや永遠に私たちの心から薄れる事はありません。私の中では鬼平といえば中村吉右衛門さんなのです。
しかし吉右衛門さんは池波正太郎先生から長谷川平蔵役のお話しを頂いた時に、一度お断りになられているそうです。お断りになられた際、吉右衛門さんは40歳で、自分にはまだ長谷川平蔵を演じるのは早いと感じられたとか。
人間の内面を見抜き、盗賊であろうが心のある人間には救いの手を差し伸べる、そんな懐の深さを演じる事ができるかなと思えるようになられた45歳の時に、再びのオファーを受けられたそうです。
時代劇と言えば善と悪が明白な勧善懲悪ものも勿論人気がありますが、本作は池波作品の特徴とも言えます、完全無欠なヒーローが主人公にならないところが魅力です。
例えば作品の中で平蔵が風邪を引く、寝たばこが止められないなど、人間味溢れるところは観ていて楽しいですし、平蔵自身が10代の頃は”本所の銕“と言われたワルであったというバックグラウンドの設定もエッセンスとして効いています。ここはファンにとってはたまらないところ。密偵の中の相模の彦十には若い頃に世話になった経緯があるので、火付盗賊改方長官という鎧を脱いでいる時には、「とっつぁん」と彦十を呼び慕うシーンも「鬼平犯科帳」ではお馴染みです。
平蔵を慕う密偵たちは魅力的で、小房の粂八を演じられた蟹江敬三さんのカッコよさ、おまさを演じられた梶芽衣子さんの一途に慕う姿なども大きな見所です。
また、捕まる泥棒も(表現が不適切かもしれませんが)、オシャレであったり、非情であったりと様々で、ひとり働きの単独犯もいれば、常に助っ人で呼ばれる頼れるスペシャリスト、例えば蔵の鍵の複製を作るだけを専門にしているプロも登場します。盗みを”おつとめ“と称してチームワークを結集し、時に数年掛かりでお宝を頂くことも!池波作品の面白さがぎゅぎゅーっと凝縮された作品、それが「鬼平犯科帳」なのです。
- 番組情報
- 【番組名】鬼平犯科帳3
- 【放送日時】毎週日 10:00~ ほか
- 【放送チャンネル】時代劇専門チャンネルHD(159ch)